復興住宅への立式改良かまどの普及
―大震災後のネパールにおける「より良い暮らし」の実現
被災地で使用されている開放型のかまどには、下記の問題点があります。
パートナー団体を通じて、立って作業ができ、かつ燃焼効率を高めた立式改良型かまどの普及をはかります。かまど本体と設置にかかる費用は2万円程度であり、寡婦や下位カースト世帯が購入する際は政府から補助金が支払われる制度があります。すでに立式改良型かまどを仮設住宅で導入している例もあり、費用よりもこのかまどの存在や入手・設置方法が知られていないことが問題です。
仙台防災枠組み等で強調された「Build Back Better」 とは、発災前の状態に戻すのではなく、災害を好機ととらえ、従前の社会課題を克服することを意味します。しかし、耐震工法に変えることだけに重点が置かれ ており、台所は発災前と同じ設備になる可能性が高いです。立式改良かまどの普及は、復興期に住宅を新築することを好機ととらえ、健康、安全、環境面での課 題を克服する試みであり、女性にとって「より良い暮らし」を実現する手段になると考えられます。
ダンス・ムーブメント・セラピー指導者養成研修
ダンス・ムーブメント・セラピー(Dance Movement Theraphy:DMT)は、1940年代の米国に起源をもち、教育や医療、福祉の場で、身体表現を通じた精神面での苦痛の克服や回復のために用いられる芸術療法のひとつです。ネパールでは、WORECの関連団体のメンバーがインドでDMT指導者養成研修を受け、地震後の避難所でDMTを実践しています。被災した郡でDMTが実施できるよう、指導者を増やすために研修を行います。
障害をもつ女性たちの仕事づくり
―EPSAに対する商品提案
障害をもつ女性たちの当事者団体Entire Power in Social Action (EPSA)は、身体・精神・聴覚などに障害をもつ女性たち約40名 に研修を行い、カトマンズ市内の作業所でフエルトやニット製品など手工芸品の生産を行っています。地震によって作業所も損壊し、余震でケガをしたり、地震によって住まいを失ったメンバーもいます。日本のフェアトレードショップやフエルト作家からのフィードバックや提案を現地側に伝え、商品の改良など提案を 行います。
「ジェンダー・多様性配慮、紛争再発予防の視点を取り入れた災害支援の好事例集」製作の執筆・編集
前年度はネパールでの情報収集を中心に行いましたが、今年度は取材した情報をもとに、日本語もしくは英語での原稿執筆、取材対象への詳細確認、ネパール語への翻訳、教訓のとりまとめ、編集作業を行います。10月を目途に完成させ、普及のための報告会を現地と日本で開催する予定です。